【artek 81Cテーブルから始まる、家具の話】
今日は、デンマークの買付ではめずらしい、フィンランドの家具をご紹介します。
もう、、、タイトルだけでワクワクしてくださる方も多いと思いますが、
デンマークで見つかった、artekのテーブル81Cというモデル。
サイズは、幅75cm X 奥行75㎝ X 高さ55㎝
天板は、ブラックリノリウム仕上げです。
カタカナ名で、なんとなく化学的に聞こえますが、リノリウムって・・・???
まず、調べてみました。リノリウムはもともと天然素材をうまく組み合わせた仕上げで、
主に、亜麻仁油・コルク・ジュート・石灰岩などを混ぜたゲル状のモノを、
麻布に添付し、浸透させて乾かしたモノを言います。
原料を見た場合、天然素材でできている為、科学的な有害物質が発生しないというメリットもあり、
また、抗ウイルス効果や抗菌効果なども実証されていることから、病院・幼稚園等、
公共性のある施設等でも使用されていた素材です。
アルヴァ・アアルトも、この素材の特徴を知って、特にテーブルの天板など、
暮らしの中で使うイメージを持っていたのでしょうね。
ちなみに・・・パイミオという場所にある、アアルトデザインの、サナトリウム(結核療養所)、
パイミオは、トゥルクにある都市です。テラヴィーバの拠点がある地域。
そして、建てられたのは・・・1933年。今から87年前です。
当時、アアルトが35歳の時の仕事だそうです。
WEBをいろいろご覧いただくと、写真やストーリーがいろいろ見えてきますが、
今見ても、とてもモダンで、TIMELESSなデザインだと思います。
当時はいろいろなパーツや製品が無いので、この建物のためにドアノブや照明等、
全てをモダンにデザインしたことで、アアルトは有名になっていきます。
デザインと、それをかなえていく為の努力を惜しまない姿勢が、
いろいろなところに現れています。
さて、話はテーブルに戻りますが、このテーブルのデザインは、1935年。
今から・・・85年前に生まれた技術とデザインです。
特に、昨年のフィンランド展でも展示されていましたが、この、アルテックの特徴の
L-leg。
無垢材を、髪をとかすときの櫛のような形に加工し、隙間を開けたところを木材と
接着剤で埋めて接着していき、
曲木ではなく、無垢材を曲げるという技術にたどり着き、特許も取得している製法。
近くで見ると、なおさら実感がわきます。 ご来店の際は、ぜひじっくりご覧ください。
そして…気になるバックスタンプは、こちら。
これなんです、これ。 何度撮っても・・・薄い!!!
せっかくartekなのに・・・でも、めげずに探してみようと思い、情報があふれているこの時代、
近い文字配列のバックスタンプは無いモノかと探してみましたが・・・文字の配列のイメージなど、
色々見た中では、一番これが近いように思います。
そして・・・このブラックリノリウム仕上げのテーブル。
テーブルと言えば、チークの天板か、ローズウッドの天板か、タイルの天板か・・・
と思っていましたが、初めてのブラック。暮らしの中にピリリと引き締まる黒。
試しに、フィンランド感を味わいたくて、アラビアの器を集めてみましたが・・・
この感じ。デンマークの家具よりも、明るい感じに、ブラックで大人っぽい印象も加わって・・・
明るくシックでかっこいい感じになりました。
また、実は75㎝サイズはお取り寄せ品としての流通になっていることや、
H70cm が標準なので、このテーブルは大胆にも脚をカットした、前の持ち主の
HISTORYがある事など、フィンランド生まれ、デンマーク育ち、で、仙台に来ました、
というストーリーが面白く、ヴィンテージ品らしいこなれた感じも魅力だなぁと思います。
今回のテーブル以外にも、メンテナンス中のアイテムが、順次公開されていきますので、
ぜひ引き続きお楽しみください。
WEBショップへの掲載は、9/10(木)になります。